pantech recruit

ENTRYENTRY

SCM×CE
Supply Chain Management × Circular Economy

MEMBER

THEME01

時代の変化に応じて設立された2つの部署

西尾
私が所属するサプライチェーンマネジメント部(以下、SCM部)も大野さんが所属するサーキュラーエコノミー推進部(以下、CE部)もパンテックの中では比較的新しい部になりますが、CE部はいつ立ち上がりましたっけ。
大野
2021年1月ですね。立ち上げの背景としては、当時、欧米の環境先進企業が自社から排出されるプラスチック廃棄物を再生原料化して社内で使用する備品等に変える取り組みを行っていたことがあります。そうした動きが今後日本にも来るだろうと見越して、新規事業部門としてプラスチックの社内循環をプロデュースする部署として立ち上げられました。
西尾
大野さんはパンテックが提唱している「環プラ®︎」を発案された本人ですし、うってつけの部署ですよね。新設されたCE部ではまずどんなことに取り組まれたんですか?
大野
そもそも実績がゼロの状態からのスタートだったので、とにかく循環させるスキームを確立することに専念しました。
西尾
それはすごく大変でしたね。
大野
そうですね。 私は中途採用で2020年9月に入社したんですが、CE部に配属になった時は、まだまだプラスチックリサイクルのことが分かっていなかったんです。業界外から来たこともあって、「すぐできるだろう」と甘く見ていたら思いのほか課題だらけで。排出素材を再生原料に加工することはできても、それを使ったものづくりをしてくれるメーカーさんがなかなか見つからないことに衝撃を受けました。日本ではこんなにも資源循環していないんだと身をもって思い知りましたね。やっとのことで成型を担ってくれそうなメーカーさんが見つかったとしてもMOQが想定以上に大きかったり、いろいろと制約が多くて、最初はどうしたもんかと途方に暮れました。前例もないですし相場感も掴めていなかったので見積りをつくるのにも苦労しました(笑) その時は西尾さんは国内営業部でしたが、業界歴が長く加工に詳しかったので、とても頼りにさせてもらっていました。
西尾
いえいえ。一から何かをつくり上げるのはエネルギーを使いますよね。
大野
SCM部は2023年7月に新設された部ですが、どういう経緯だったんですか?
西尾
話が持ち上がったのは2022年です。当時はバーゼル法の改正やプラスチック資源循環法の施行などで国内循環のニーズが高まってきていた時期で、排出事業者さんや再生原料ユーザーさんから求められる要求が高度になってきていました。それにもかかわらず、プラスチックリサイクル業界では品質管理をしていないことが多く、ご期待に応えられないことも少なくありませんでした。そこでパンテックがこれまで蓄積してきたプラスチックリサイクルに関するデータを活用することで、プラスチック資源の国内循環を加速させられないかと模索を始めたんです。そして品質管理をしていくためには設備導入の必要があるという話になり、折しも本社が手狭になってきたことも相まって、サプライチェーン全体を管理する新しい拠点としてのサーキュラーデザインセンター(CDC)の開所とその運用を担うSCM部の設立が決まりました。
大野
2022年から構想があったんですね。良いタイミングでハードとソフトが立ち上がりましたよね。
西尾
日本のプラスチックリサイクル業界はいま過渡期なので、顧客のニーズを捉えて素早く行動できたのはよかったと思います。
THEME02

新拠点CDCとSCM部の役割

西尾
さっきの品質管理の話でいうと、プラスチックリサイクルの世界は意外とアナログで、トレーサビリティを担保できていないこともいまだに多くあります。そしてそれは出所や由来が特定できていない再生原料が流通することにつながります。一方で近年ELV指令などに代表されるリサイクル関連の法規制の強化によって、大手企業を中心に再生原料の使用を検討する企業が増えていて、再生原料の由来や品質の保証、安定供給が求められる機会が増えています。パンテックではこれまで物性測定はすべて外部委託で対応していましたが、顧客ニーズの高まりに応じて内製化していく必要がありました。なので、SCM部としては第1段階として排出素材や再生原料の物性データをストックするデータセンター機能を確立させつつ、第2段階としてオリジナルグレードの再生原料製造に向けた研究開発を行っていくことを視野に入れています。
大野
これまでは「再生原料はバージン原料よりも安いから使う」という感じでしたが、いまは「再生原料を使わなければならない」という社会に変化してきており、高品質の再生原料を求める需要家さんが増えてきましたよね。
西尾
その通りだと思います。まだまだ再生原料をどう使うか研究開発に四苦八苦している企業が多いので、今後そこを私たちSCM部がデータベースをもとに希望用途にバチーンとはまる再生原料を提案できればいいなと思っています。
大野
まだまだDXが進んでいない業界なので、データベースを活用した提案ができることはパンテックの大きな強みだと思います。日本のプラスチックリサイクルの状況は、海外の環境先進国から遅れをとっていると言わざるを得ません。だからこそ、パンテックとしてこの状況を変えていくことにチャレンジしているわけですが、その中心的な役割を果たすのがCDCであり、SCM部だと思います。
西尾
社会的な意義を含め、とてもやりがいを感じています。
大野
個人的にプラスチックリサイクルには全てのプロセスに課題があると感じています。樹脂の種類が多すぎて分別難易度が高いこともそうですが、そもそも樹脂と金属や木材などの異素材がくっついていて分別ができない設計になっていたり、商品設計を変えない限りリサイクルすることができないケースも多いじゃないですか。複合樹脂の場合は、PE(ポリエチレン)とPA(ポリアミド)が貼り合わさったフィルムなど一部を除いて、技術的にマテリアルリサイクルができなかったりしますし。
西尾
そうですね。フィルムに限って言えば、PPやPEといったポリオレフィン系樹脂の層が厚ければ厚いほどリサイカブルになっていきます。逆にPETやPAなどポリオレフィン系ではない樹脂の構成比が大きくなればなるほどリサイクルしにくくなります。例えば食品包装資材なんかは食品の保存性を高くするために複層フィルムが使われていますが、リサイクル性よりも機能性を重視する企業がまだまだ多いのが日本の現状だと思います。
大野
リサイクルに適した単一フィルムの実用化に向けた研究開発もされてはいますが、そうすると保存性を犠牲にすることにもなって、結果的にフードロスなど別の問題を引き起こすことにもなりかねないので、こちらを立てればあちらが立たずといった感じで、機能性とリサイクル性のどちらを取るかという難しい判断を迫られているブランドオーナーさんが増えていると思います。
西尾
いままで食品包装資材は「保存性が高いほうが良い」というのが常識でしたが、これから「保存性が低くてもリサイカブルな製品のほうが好ましい」という世の中になっていくのであれば、商品設計から見直さなければならなくなります。それにイギリスでプラスチック包装材に再生原料が30%未満しか使われていない場合に税金を課すという、いわゆるプラスチック製包装税が導入されたこともあって、国内の大手ブランドオーナーさんを中心に再生原料の使用を検討する企業が増えている印象です。
大野
CDC開所やSCM部設立の目的は、マテリアルリサイクルの高度化と再生原料の使用を促進させることですよね。リサイクルには「商品設計」「回収・分別」「再生原料への加工」といった各段階で課題があると話しましたが、「再生原料の使用」にも大きな課題がありますよね。
西尾
せっかく排出素材を分別・加工して、再生原料をつくっても、最終的にそれを使ってくれるメーカーさんがいなかったら資源循環が成り立ちませんからね。さっきSCM部では排出素材や再生原料に関するデータベースの構築を行っているとお話しましたが、そのデータベースを活用することで、再生原料の用途開発にも積極的に関わっていきたいと思っています。再生原料を使う先を確保することも、CDCとSCM部の重要な役割だと感じています。
大野
用途開発から実際に再生原料が採用されるまでには、何度もテストを繰り返さなければならないので、数年単位の時間が必要になったりもしますが、プラスチックの資源循環を促していくためには避けては通れないプロセスですよね。
西尾
一口に再生原料を使用とするといっても企業にとってはとても労力がかかることなんですよね。再生原料ユーザーさんにとっては、再生原料の元材がどこから排出されるどんな素材で、どういうプロセスでつくられ、どんな物性なのかが分からないまま、自社の成型機に投入するのは怖いと思いますし。その不安を払拭するためにもトレーサビリティが担保できていることをエビデンスとして提供できる体制を整えておくことが重要だと思います。その上で、私たちの持つプラスチックリサイクルに関するデータを駆使して、用途やコンパウンドの提案などのソリューションを生み出していければと思っています。
THEME03

捨てられるものに新たな価値を与えるCE部

大野
CE部で行っているクローズドループの取り組みは、日本初のことも珍しくないんですよね。だから前例もないし、再生原料化においても製品化においても委託先の協力パートナーを見つけるのが本当に大変なんですが、実際に製品として出来上がったときは、捨てられていたものから新たな価値を生み出せたことに感動します。私はルーティンワークが苦手で新しいことに挑戦するのが好きなので、ゼロからイチを生み出すことにやりがいというか、おもしろさを感じます。
西尾
しかもデザインやストーリー性も求められるので、そういうものを構築できる仕事ってかっこいいですね。
大野
サーキュラーエコノミーに関しては、各企業の努力もあって、世界中で事例が積み上がっている段階です。一方でグリーンウォッシュの問題が取り沙汰されるようになってきているのが気がかりです。「ゴミになっていたものを有効活用できました」だけで良かったのが、気候変動に対してポジティブな影響を与えるのか、経済合理性はあるのか、取り組みを拡大展開していくことができるのかなどについても、説明責任を果たしていくことが求められるようになってきていると感じます。
西尾
お客様と一緒にできることを探りながら要望にも応えていかなければならない上に、一時的なパフォーマンスに留まらない継続的に循環できるスキームを考えていかなければならないのはかなり大変ですね。
大野
個人的にはグリーンウォッシュと批判されることを恐れて何もしないよりかは、まずは捨てていたゴミを有効活用することを検討するべきだと思っています。もちろん理想としては資源が回り続けるスキームができることではありますが、いきなりそこに行き着くことは難しいので、スモールスタートをしながら、少しずつステップアップしていくことが重要だと思います。小さくても“ポーズ”ではない、中長期的に活動が継続できるシステムを構築する支援をさせていただいています。当たり前ですが、最終製品が社内で使う備品なのか、配布用のノベルティなのか、それとも売り物なのかによっても、求められる品質にも違いがありますし、取り組みの難易度が変わってきます。CE部としては、どこを目指し、そこに向けてどう進んでいくのかをお客さんと一緒になって考えたいと思っています。
西尾
再生原料化や商品化には加工が伴いますので、その部分は私たちSCM部も一緒になって考えていければと思います。
大野
ぜひ相談させてください!
THEME04

2人の思うパンテックとは

大野
パンテックはおもしろい会社だと思うんですよ。時代的にも求められている分野ですし、業界的にも独立系・ファブレスという珍しい形態であり、情報が集まってくるポジションを取れている。だからこそこれから大きく成長していける会社だと思っています。有難いことに実際に大手企業から頼っていただく機会が増えていますしね。
西尾
私は2016年に中途採用で入社しましたが、当時の顧客層は中間処理事業者さんやリサイクラーさん、海外メーカーさんが多くて、今のように国内の大手のメーカーさんやブランドオーナーさんとの取引が増えるなんて想像していませんでした。
大野
そうなんですね。
西尾
顧客層が変わる契機になったのは2017年の国門利剣で中国へのプラスチック廃棄物の輸出が規制されたときですね。国門利剣はプラスチックリサイクル業界にとって大事件でしたし、実際にこれがきっかけで廃業した事業者も多かったと思います。よく社長が「ピンチをチャンスに」とおっしゃっていますがこの時は本当にそうで、パンテックはこの難局を乗り切るどころか新しい顧客層の獲得に成功したことが大きな転機になりました。パンテックは過去何度かこうしたピンチに遭遇していますが、そのたびにチャンスに変えて大きく成長している会社だと思います。
大野
あと、望めば社歴を問わず誰でも打席に立つことができる社風なのもとてもいいですね。
西尾
確かに。それはありますね。
大野
前職では大事な場面では必ず上司や先輩が前に出ていくので、下の人間はサポートに回ることがどうしても多かったんですよ。それに対して、パンテックでは若手でも先方の管理職レベルの方を相手に商談ができたり、プロジェクトを任せてもらえたりするじゃないですか。クレドに「自燃性」という言葉がありますが、主体的に行動すればどんなことも任せてもらえるので、成長したい人にとってはとても有難い環境だと思います。
西尾
従業員の中には外国人や留学経験者が多かったりしてダイバーシティを感じるのも良い点ですよね。社内だけでなく顧客層も幅広くて、さまざまな地域や業種のお客様と接する機会があるので飽きないですし。
大野
飽きないですね。1日のうちに町工場に行ったり高層オフィスビルに行ったり、商談場所も商談相手も様々ですし。出張で日本各地に行ったり、海外営業は海外にも出かけていきますし。
西尾
そもそもプラスチックの処理に困っている人から廃棄されるはずだったものを買い取って社会的に価値のあるものに変えていくってすごいことだと思います。困っている人を助けられますし、排出事業者さんやリサイクラーさん、再生原料ユーザーさんそれぞれに喜んでもらえて、社会貢献もできている。
大野
三方良しですね!いや、本当にいいビジネスモデルだと思います。
西尾
仕事は大変なときもありますけどね(笑)
大野
そうですね(笑)

※出演者の所属、職種、その他の全ての情報は本記事掲載開始日時点のものであり、現在の情報とは異なる場合がございます。

今回のロケ地紹介

ロケ地豊郷小学校旧校舎群

豊郷小学校旧校舎群は、滋賀県豊郷町出身の近江商人・伊藤忠兵衛が創業した丸紅商店(後の丸紅の前身)の専務であった古川鉄治郎氏の寄付によって、昭和12年に建設されました。設計したのは近江八幡市を中心に活動をしていたアメリカ人の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏です。
当時は「白亜の教育殿堂」「東洋一の小学校」といわれ、平成25年には国の登録有形文化財に登録されています。

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